2021-01-01から1年間の記事一覧
”イラストで読む旧約聖書の物語と絵画” 杉全美帆子氏著 河出書房新社発行 外国語(特に英語)を学習するとき次のことに重点を置くことが大事といわれます。 まず、シェークスピア、マザーグースそしてなにより聖書です。 様々なエピソードや格言が現在でも…
アガサクリスティー作品を使ってセミナーを開いていますが、その際作品にまつわるエピソードを調べるときには、先人の残されたあらゆる資料を必要とします。その際、手身近で便利なものはやはり書籍です。 今回は作品「葬儀を終えて・1953年発表」の回に使用…
鏡は横にひび割れて、より(P53 第3章 No.2) 「まあ、なんという言い方ですの?」「そうではありませんか?それはともかくとして、あなたはパセリが夏の暑い日にバターの中に沈み込む深さからでも、推理できる人だ。私は前から感じていましたよ。シャーロ…
セント・メアリー・ミード村は架空の村で、マープルの話によると、典型的なイギリスのかわいらしい村と言った所のようです。それでも商店や教会、銀行、郵便局が揃い つつましく生活する分では、申し分ないようです。 しかし、二つの戦争を経てこの穏やかな…
アガサキリスティーの作品を調べていると、思わぬ歴史や事柄を発見します。作品「杉の柩・1940年発表」では、お茶がキーポイントになります。茶の歴史を探る過程で、19世紀の後半にはわが町神戸にも、茶園が存在していたことが分かりました。 次の表は明治5…
1890年生まれのアガサクリスティーにとって、19世紀に絶頂を迎えた祖国イギリスは、どのように映っていたのでしょう? ボーア戦争、第一次世界大戦、そして第二次世界大戦と、1976年にその生涯を終えるまで三回の戦争を目のあたりにして、彼女の作品にはどの…
複雑な思いを胸に含んだ三人の男女は、ナイル川を上るカルナック号に乗船します。 遊覧航行ながら、不穏な空気が流れる船内では、各自に与えられた部屋に全員落ち着きます。 歴史的エジプト遺産が残るアブシンベル付近で、とうとう事件が展望室で起きてしま…
第一次大戦後、ベルギーからの避難民の設定として名探偵エルキュール・ポアロは生まれました。彼はアガサ作品のほぼ6割を占めます。 1940年代がポアロの最盛期とすると、それ以降の主役はミス・マープルです。 イギリスの典型的な田舎町、”セントメアリーミ…
今回は殺人事件の現場となったナイル川の概略をお伝えします。 イラストの下の方(上流)から上の方(下流)へと、大河が流れるのですが、ポアロ たちは下流から上流へと河を登るツアーに出かけます。この船上で事件が起きます。 アスワン・カタラクトホテル…
作品”ナイルに死す”は、イギリスの郊外にあるカントリーハウス(主に富豪が住む豪邸)から始まります。 金持ちのリネットは友人ジャクリーヌから恋人のサイモンに職を与えて欲しいと、懇願します。やがて、リネットは親友の恋人と結婚しエジプトへ新婚旅行へ…
彼女の作品”スタイルズ荘の殺人”が、世に出たのは1920年、持ち込んだ出版社になかなか認められず、あのアガサも新人作家として苦労された模様です。 次のグラフは年代ごとのアガサが発表した作品の数です。 この年より二年前、1918年に第一次世界大戦は終了…
近世において、オスマントルコはエジプトの宗主国でしたが、イギリスは東洋の植民地へ通じる運河を領土に持つエジプトへ近づきます。 1882年エジプト国内に起こった内乱(ウラービー革命)を収めるためイギリスは軍事介入します。同年9月13日、革命を鎮圧し…
私たちはコメディーフランセーズに連れていかれ、・・・中略・・・ 私はサラ・ベルナールを観た。(アガサ・クリスティー自伝 上巻 ) アガサ・クリスティーのことを調べるため、自伝を読んでいるとフランスでサラ・ベルナールの講演を観たという記述に目が止まり…
私のアガサ・セミナーは準備に3~4ケ月ほど必要としますので、年間2~3回が限度です。けれど、通算11回を経験した現在いわゆる持ちネタが7個(7作品)になりましたので、全く新規の方からお声が掛っても、以前よりわずかな準備で対応できるようになってきまし…
18世紀前後からの産業革命は、物資(生産物・原材料)の輸送手段として、運河の重要性をイギリスに気づかせる”きっかけ”になりました。 動物(馬)を使った輸送から、後の蒸気機関車を使う輸送が中心となるのですが、一方大量の生産物を国外へ輸送できる船舶…
作品”ナイルに死す”の舞台は、ダイナミックでイギリス(おそらく郊外)カイロ・アスワン・ワディ・ハルファと多岐にわたります。まるで観光旅行に同行するような気分で作品を味わます。 大河ナイルを登る船旅で何が起こったのでしょう? 次回のテキスト紹介…
この作品の舞台となっているエジプト並びにナイル川は、イギリスが開発に大いに関わっています。 地中海と紅海を結ぶスエズ運河は、フランス人・レセップスによって建設されましたが、インドへの支配が必要なイギリスはこの運河の株を買収、エジプトも保護国…
2021年4月14日 神戸市灘区「あすパーク」で行いました、第11回(通算)教えてアガサ・セミナーのテキストを順次公開させていただきます。 今回はエジプトおよびナイル川を舞台とした”ナイルに死す・Death on Nile”を取り上げました。大河を遡上する豪華観光…
ショーン・コネリー (1930-2020) 出演作 オリエント急行の殺人1974年 ジェイムス・ボンド役で知られたショーンコネリーはスコットランド出身です。1962年から1983年まで7本のボンド作品に出演しました。あまりにも強い個性から他の役を演じることの障壁とな…
次回のセミナーは9月辺りを予定しているのですが、オリエント急行の殺人を初めとして勢いに任せて、ポアロシリーズの7作を取り上げました。 聴いて下さる方々のなかには、そろそろミスマープルをテキストにという声が揚がるようになりました。さあ、どうしよ…
お茶(cha)とティー(tea)、出自が違うように思える2つの言葉、実は中国雲南州(チャノキの故郷)近辺の中国語の方言から来た、全く同じものを表した言葉でした。 緑茶や紅茶の原料になる”チャノキ”は、ツバキ科の植物です。陸路と海路でヨーロッパに運ば…
アガサ・セミナーも11回を終了しました。 夢中で走ってきました。この辺りで、過去どんな内容だったか整理します。 第一回 2019年3月30日 場所・六甲勤労市民センター4階生きがい活動ステーション(現・灘文化センター) テーマ オリエント急行の殺人 内容 …
先週になりますが、神戸市にある”コミスタ神戸・神戸市生涯学習センター”で、市民講 師として、”ナイルに死す”をテーマにセミナーを開かせていただきました。 90分のセミナーでその内の数分ですが、動画にしてみました。 www.youtube.com
南フランスへ移ったゴッホは、ゴーガンにぜひ一緒に生活をしてほしいと哀願します。 乗り気でなかったゴーガンですが、彼の熱意にほだされて南へと移ってきました。 お互いに刺激しあって絵画に励むのですが、個性の強い二人が衝突するのは時間の問題 でした…
ベルギーで宣教師(正式ではない)として働き始めたゴッホは、自分の持ち物まで貧し い工夫たちに与える姿に、周囲からは一定の評価を得たのですが、いろいろな軋轢や人 間関係の摩擦から失職してしまいます。そこには彼の問題を抱えた性格が、災いしてい た…
この回から19世紀オランダの画家、フィンセント・ヴァン・ゴッホを取り上げます。 2020年12月19日のテキスト公開も、ゴッホの回をもって最終です。 美術の素人として感じることですが、ゴッホという人は身内にいれば、大変付き合いに 困る性格に思えます。こ…
17世紀、オランダが交易を中心に世界に躍り出たとき、絵画の世界に新しい画材と出会 います。その名は「ラピズラズリ」。 中東のアフガニスタンに産するこの顔料は、鮮やかな青の世界を出現させました。 フェルメールの”真珠の耳飾りの女”が頭に巻いているタ…
17世紀、交易を中心として絶頂を迎えたオランダ(フランドル地方)ですが、絵の購買 層は、かっての教会に属する人々から、中産階級の市民えと移っていきます。 フェルメールの絵画にもその影響は見られ、手紙が大きな要素となりました。 貿易によって海外か…
ヨーロッパとアフリカ大陸を分けていたジブラルタル海峡が、イスラム世界からキリス ト世界に戻されたことで、オランダが東方に交易を拡げることが出来ました。17世紀は オランダがヨーロッパにおいて、その全盛時代を迎えます。フェルメールの絵画にもそ の…
来る4月14日㈬に、9回目となる”教えてアガサ・セミナー”を行います。 今回は神戸市生涯学習支援センター(コミスタ神戸)が、会場です。 毎回顔見知りの方々が来られるセミナーとは違って、初めて来られる方々の前で行う緊張する会です。ここでは、ABC殺人事…