2020-01-01から1年間の記事一覧

12月19日 教えてアガサ・セミナー テキスト公開。No.9

前回の投稿からほぼ3週間が経ってしまいました。セミナーが近づくにつれての緊張のためです。情けない。 さて、コーラを殺害したギルクリストですが、その動機はコーラの持ち物である絵画の作品にありました。その作品の中には彼女が買い集めた絵があるので…

次回、12月19日 教えてアガサ・セミナー テキスト先行公開。No.8

今回は「葬儀を終えて」の犯人に触れますので、まだ作品をお読みになってない方は、ご注意くださいね。 さて、ヘレンが感じた違和感とは何だったのでしょう? それは、他の家族との会話で鏡のことが話題になりました。“他人の目に映るとおりの自分自身を眺め…

次回、12月19日 教えてアガサ・セミナー テキスト先行公開。No.7

Page369しかしね、鏡に映った姿でなく、自分本来の姿を見たら、もっと判別がつかなくなるぜ。ジョージの言葉 Page370 ただ、ヘレン・アパネシーだけが、なにか考え込んだ様子で沈黙を続けていた。 Page 380 他人の目に映るとおりの自分自身を眺める。・・・ コ…

次回、12月19日 教えてアガサ・セミナー テキスト先行公開。No.6

Page276 この国じゃ私たち、どうにか今度の戦争でひどい目に会わなくて済みました。また島国だったことも幸運で。もしヒットラーが上陸していたら、私たちも銃を取って彼をとっちめただろうと思います。私たちイギリス人はいつも不幸な人たちをこの国に歓迎…

次回、12月19日 教えてアガサ・セミナー テキスト先行公開。No.5

第11章No.3Page 240これは古い習慣でして、ウェディングケーキをまくらの下にして寝ると、未来の夫の夢を見るという。 末の妹、コーラが殺害された後、同居していた家政婦・ギルクリフトの言葉。差出人不明のケーキが送られてきますが、彼女はウェディングケ…

次回、12月19日 教えてアガサ・セミナー テキスト先行公開。No.4

第6章 No.2 Page 125 そもそもこんな状態になったのはあのいまいましい労働党のせいだ。ちゃんとした庭師も雇えない。使用人なんか探してもいない。”ティモシーの言葉” Page 132 この頃の下層階級の人間ときたら誠実さというものが全然ないんだから。”ティモ…

次回、12月19日 教えてアガサ・セミナー テキスト先行公開。No.3

第4章 No.1P52彼は朝食をすませて枕によりかかり、<タイムズ>を読んだ。こんな時にはタイムズを読むと、なんとなく気持ちが落ち着いてくる。(次男チモシーの言葉) アガサの作品には英国の新聞がよく登場します。階級の国だけあって、読む新聞がその人物の…

次回、12月19日 教えてアガサ・セミナー テキスト先行公開。No.2

長男リチャードの葬儀も無事に終え、兄弟・親戚一同はほっとしたのもつかの間、末妹コーラの爆弾発言が飛び出します。「だってリチャードはころされたんでしょう」。 コーラが一族の中で一風変わっていると、皆は理解していますが、こんなことを言ってはいけ…

教育に勝るものはありません。

<オリエント急行の殺人より>オリエント急行の殺人は、アガサクリスティー 第14作目の作品。1934年発表 女史44才の作品。 第一章 その3 42頁教育に勝るものはありません。私たち西洋の理想を取り入れて、東洋の人にそれを認めさせなくてはなりません。 I gues…

次回、12月19日 教えてアガサ・セミナー テキスト先行公開。No.1

10月のセミナーが終わったと思ったら、早くも1か月後の12月には次のセミナーが、控えています。只今、頭を痛めつつテキスト作りに励む毎日です。 次回の課題作品は、「葬儀を終えて」アガサ女史63才の作品です。(発表は1953年・ポアロ25作目) 一家の長が死…

セミナーの様子

先月、地元の会場(コミスタ神戸)で行いました“教えて、アガサ”セミナーの動画です。(抜粋)この会場では2回目ですが、詳しい方が多く、緊張しました。 コロナ禍のため、延期になった講座が多く、私のセミナーも次回は来年の春辺りになりそうです。それま…

マザーグースが引用されたアガサ作品

最期にアガサ作品の中でマザーグースが引用されている小説をご覧ください。10作の著書とその作品に関係するマザーグースを併記しています。(他にもあるかもしれません。ご参考まで) 下段は今回の、”そして誰もいなくなった”の、テキスト作りに参考にさせて…

マザーグースとビートルズ

今回はマザーグースとビートルズについてです。 英語圏の文化を知るにあたってこの3点は重要と言われているのは、聖書・シェイクスピア・そしてマザーグースです。”そして誰もいなくなった”にもten little indiansが引用されていたように、アガサ女史はの作…

2020年2月のセミナー風景

今年2月、まだコロナがこんなに様々な方面で影響を与える前に、コミスタ神戸(神戸市の生涯学習施設)での初めてのセミナーを行いました。その時の写真が、ありがたい事に主催側の職員様より送られてきました。 参加された方々は30名で、中にはキャンセル待…

そして誰もいなくなった、より” アガサ女史が仕掛けた謎解きのヒント 第六の被害者・ローレンス・ヴォーグレイブの場合 ②

さて、昨日の続きです。カインの刻印とは何のことでしょうか? 旧約聖書創世のころに登場する重要人物と言えば、アダムとイブです。絶対神ヤハウェが、天地を創世し6日目にアダムを創り、彼のあばら骨からイブを創りました。 彼らの二人の息子たちが「カイン…

そして誰もいなくなった、より” アガサ女史が仕掛けた謎解きのヒント 第六の被害者・ローレンス・ヴォーグレイブの場合 ①

アガサ女史が(主要登場人物の口を借りて)述べる、三つの手がかりのうち一番分かりにくいのが、この”いうまでもなく”カインの刻印です。アガサが思い描く読者の姿はこの文から察するに英語(キリスト教)文化の人たちなのでしょうね。 私たち(少なくとも私…

今月のセミナーについて。

今月、10月14日 神戸市民講師としてアガサ・クリスティー作品を語ります。 普段のセミナーと違い初めてお会いする方々が聴きに来られます。 緊張します。しっかり頑張ろう!

そして誰もいなくなった、より” アガサ女史が仕掛けた謎解きのヒント 第七の被害者・アームストロングの場合

アームストロングは、犯人を見つけに行くと言って、館の外へ飛び出したまま行方不明になります。翌日浜辺に打ち上げられた彼の死体が発見され、7番目の被害者になってしまいました。アームストロングに振り分けられたマザーグースは「燻製のニシン」がポイン…

そして誰もいなくなった、より” アガサ女史が仕掛けた謎解きのヒント

本文最終部分で、犯人がこの犯罪の謎ときをするシーンがあります。 犯人の口を借りてアガサ女史は、読む人が読めばちゃんと犯人は判明するとばかりに、三か所のヒントを提示しています。 次のテキストはその部分についてです。 なかなか煩雑なので、次回から…

第6回 教えて アガサセミナー 風景

去る9月19日、教えてアガサセミナー 第6回 「続・そして誰もいなくなった」が、なんとか終了しました。 全90分の内、5分程を公開させていただきます。 この作品には犯人にたどり着くための重要なヒントが隠されています。それは旧約聖書に書かれている、ある…

そして誰もいなくなった、より”エミリーブレントの述懐” ② 1840年代以後の麻酔

1846年、マサチューセッツ総合病院で、歴史的な公開実験が行われました。 エーテルを麻酔薬として使用し、抜歯手術が行われました。結果は成功とは言えず一年後に行われた、クロロホルムを使用した同様の実験で、ようやく効果が認められました。 日本で麻酔…

そして誰もいなくなった、より”エミリーブレントの述懐” ① 1840年代以前の麻酔

物語が始まって11ページ、10人のうち信仰深い夫人、エミリーブレントのセリフです。気になる言葉が「歯を抜くときに麻酔を要求する。」です。彼女は麻酔無しで治療を受けるつもりのようです。 麻酔の歴史は浅く、ターニングポイントは1840年代に遡ります。 …

第6回 セミナーについて。テキスト公開 ④

NHK BS放送で『深読み読書会』という番組があります。いろんな分野の専門家が寄ってたかって、作品の深読み合戦に奮闘する趣旨の番組です。作品への愛情と、あふれんばかりの熱心さに、思わず見入ってしまいます。 私のアガサ作品に対する態度も似たようなと…

第6回 セミナーについて。テキスト公開 ③

三枚目のテキストは、アガサ女史の家族についてです。 兄・モンタントと姉・マーガレットに色々な影響をアガサ女史は受けます。 兄は1890年末に南アフリカで起こったボーア戦争に出兵します。(ボーア戦争は南アフリカにおいて、地下埋蔵資源を巡って、先住…

第6回 セミナーについて。テキスト公開 ②

前回は登場人物の前半5人を紹介いたしました。今回は残りの5人の番です。 過去に罪を犯した人物が一人一人と、殺害されていくのですが、アガサ女史は読者に犯人へと結びつく3つのヒントを用意してくれています。けれども、キリスト教の文化圏とは距離のあ…

第6回 セミナーについて。テキスト公開 ①

今月9月19日㈯は、アガサセミナーの第6回目を行います。只今、セミナー用のテキストを作成真っ只中です。毎回セミナー前の数日が大変つらい時期です。泣き言を言っても始まりません。少しずつ、ぼんくら頭にムチ打って頑張ってます。 今回のテーマは『続…

第2回セミナー テキスト ⑨ ここに注目。

アガサの作品を注意深く読んでみますと、ストーリーとは一見関係ない、”些細な会話”に、当時の英国のお国事情が、垣間見てきます。 次のテキストNo.9は、その一部を抜き出したものです。 (文頭のNo.8は本文第8章、Page19は19ページのことです。) 次回のNo.10…

次回 アガサセミナーについて。

9月19日㈬、神戸市灘区あすパークにて、第6回アガサセミナーを行います。 昨年6月に行いました、『そして誰もいなくなった』を、もう一度取り上げます。 主に、マザーグースを中心にお話をさせていただきます。前回では、中途半端に終わりましたので、もう少…

第2回セミナー テキスト ⑧ キリスト教聖人の名前 各国による呼び名の変化

前回まで、現在まで生きるマザーグースを何点か、ご紹介しました。例を挙げればきりがありませんが、ビートルズも皆さんが良くご存じの名曲にマザーグースが組み入れられています。機会があればまたご紹介いたします。 さて、今なおヨーロッパ社会では、キリ…

アガサ・セミナー風景

2020年7月15日・水曜、神戸市立灘区文化センターで第5回 アガサクリスティー・セミナーを、開きました。90分のセミナーですが、その一部を公開いたします。 アガサセミナー風景 まだまだ、ぎこちない喋り方とセミナーの進め方で、改善するところばかりです。