杉の柩

作品「杉の柩」よりバラの名前

作品「杉の柩・SAD CYPRESS 」は、1940年の発表でポアロシリーズとしては、18作目です。お茶やサンドウィッチなどが効果的な小道具として使われますが、バラもそのひとつです。 このバラの名前をご存じかな? ゼフィライン・ドローインですよ。ポアロはつぶ…

神戸とお茶のお話 その④ 最終回

前回までに、神戸市灘区一帯の扇状地で明治時代にお茶の栽培がおこなわれていたことをお伝えしました。 次の図は、今までにご紹介したものと同じ地図ですが、左の部分には川沿いに赤い矢印を記しておきました。これは川(旧生田川)に沿って据え付けられた水…

神戸とお茶のお話 その③ 

前回まで、明治維新以降に神戸ではお茶を作り加工そして海外(主にアメリカ)へ輸出していたお話でした。 一方、徳川幕府が瓦解し、路頭に迷った藩士に勧められたのは現在の静岡県牧之原台地での茶の生産でした。これが近代まで静岡県の茶生産の繁栄をもたら…

神戸とお茶のお話 その②

前回は明治初期において、絹織物と茶が日本の輸出品目の中心であったというお話でした。さて、当時の茶の製造はどんな工場で行われたのでしょう? 調べてみると、こんな写真に到達いたしました。 現在、神戸の観光地の一画である、旧居留地にこういった茶の…

神戸とお茶のお話 その①

以前、作品「杉の柩」を取り上げた時(2020年4月5日)、お茶の歴史について簡単に述べさせていただきました。今回から数回にわたって、我が町・神戸とお茶の歴史をたどっていこうと思います。 よろしくお付き合いいただければ、嬉しい限りです。 明治元年 18…

アガサ・セミナー風景

2020年7月15日・水曜、神戸市立灘区文化センターで第5回 アガサクリスティー・セミナーを、開きました。90分のセミナーですが、その一部を公開いたします。 アガサセミナー風景 まだまだ、ぎこちない喋り方とセミナーの進め方で、改善するところばかりです。

茶の歴史 ③

中世 大航海時代になると、ヨーロッパから偏西風や貿易風を利用して帆船がアジアにやってきます。その中にはポルトガル・スペイン・オランダそしてイギリスが編隊を組んでやってきました。 彼らにとって東洋の国、中国や日本は神秘の国と写ったようで、日本…

作品・杉の柩で紅茶に言及する場面(一部)

Page 30 (以下ページ数は早川書房・杉の柩より) ホプキンズ看護婦は嬉しそうに応じた。「ええ、ええ、お茶ならどんな忙しいくたって。いつも言うんだけど、美味しい濃いお茶ほどいいものはないわよ、ね」“Nurse Hopkins said comfortably. “ Well, dear,I ca…

ポアロ18作目の作品『杉の柩』とは?

今回、取り上げる作品 杉の柩はポアロシリーズ18作目、1940年の作品です。 婚約中のロディーとエリノアの前に現れた幼馴染のメアリー。彼女の出現で婚約は解消。エリノアの作った料理を食べたメアリーは、中毒死してしまいます。エリノア以外に犯人は考えら…

茶の歴史 ②

現在、茶の一大産地であるインドには、三大生産地と呼ばれる地域があります。ダージリン・アッサム・ニルギルです。 一日の気温高低差が大きいダージリンでは、その気候を生かした風味が特徴です。一方、アッサムでは、生産量が突出しており、インド茶の半分…

茶の歴史 ①

英国の作家らしく、アガサの作品には茶が有効に使われています。 杉の柩でも、殺害には茶(紅茶)が登場しました。 ここでは、茶そのものの歴史をたどっていこうと思います。 まずは、原産地とその流れについておおまかに。 The history of tea - Shunan Teng …

経験を生かしたミステリーのトリック

アガサクリスティーの生涯は戦争と密接な関係が見られます。 薬剤師・時代のクリスティー女史 ボーア戦争(1899-1902)では、兄のモンティが従軍します。さらに、第一次世界大戦では彼女の最初の夫、アーチボルド・クリスティーも従軍参加。彼女自身も薬剤師と…