🎤 第21回目のセミナーに向けて

〈教えてアガサセミナー〉

 

 

 

次回の“教えてアガサセミナー”を6月後半におこなうべく、テキスト作りに励んでおります。テキストは合計6~7枚になる予定ですが、原作のどこで区切りを入れるかで構成が変わってきます。今回は初めて原作のあらすじを写し書きしました。A4で6枚、物語の俯瞰には、なかなか良いアイデアと思いました。

 

汚い字で読むに堪えないでしょうが、アイデアメモのつもりで走り書きしています。

この作品(親指のうずき)には、シェースクスピアのマクベス、英国田園画家コンスタンブル、ヒッチコックのサイコなど、オールキャストの面々が登場予定です。

 

 

 

 

 



 

次回 第21回教えてアガサセミナー テキスト・ひな型 公開します。

 

来る6月26日、第21回目の教えてアガサセミナーを開催します。例によってただいまオリジナルテキストを孤軍奮闘作成中です。

今回の作品は「親指のうずき」です。登場人物はそれほど多くはありませんが、やはり相関図があれば理解が進みます。次のように導入部として、オリジナルテキスト一枚目を作りました。

 

 

 

アガサクリスティーはかく語りき

After all ,women haven't really got time to be anything but realistic over things.
(By the pricking of my thumbs. page 10)


何と言っても女は忙しすぎて、物事にたいして現実的になるよりほかはないのよ。

(親指のうずき 19ページ)

アガサ女史が『親指のうずき』を発表したのは78才の時(1968年)の時でした。若い頃の作品に比べて、波乱の人生をいきてきた女史には、作品中に含蓄のこもったセリフが至る所に散りばめられています。このセリフなどは、直接ストーリーに関係ありませんが、しばし本を閉じて考えさせられます。

 

 

クリスティー作品を描いた画家たち。

学生時代に英語の先生から教えていただいた言葉に、『英語を知るのに必要な三要素がある。聖書、マザーグース、それにシェイクスピアをほんの少しでも知っておくと役に立つ。』というのがありました。

 

アガサクリスティー作品を読んでいると先生の言葉が身に沁みます。「そして誰もいなくなった」では、旧約聖書の諺やマザーグースにちなんだ殺人が行われます。

さて、次回の〈教えてアガサセミナー〉で取り上げる“親指のうずき”では、何が取り上げられるのと思われますか?  作品名の“親指のうずき”はシェイクスピアマクベスのセリフを引用されています。BY THE PRICKING OF MY THUMBSが原題です。

 

Prickは他動詞として、「ちくちく傷ませる」とあります。親指の疼き、とは良く訳したものです。こういう所に先人の経験と知恵が見られますね。

 

さて、シェイクスピアは16世紀のイギリスが生んだ巨匠ですが、私が知らないだけかと思いますが、彼の作品を描いたイギリスの画家はそんなに見当たらないように思えます。

イギリスの永遠のライバル、フランスの画家 テオドール・シャセリオー(仏: 1819年9月20日 - 1856年10月8日)は、「マクベスと三人の魔女」という作品を残しています。 

 

 

 

 

次回セミナー、「親指のうずき」に引用された詩と絵画

 

クリスティーの作品には色々なジャンルの引用が見られます。詩人のアルフレッド・テニスン(1809~1892)には、やはり同じイギリス人として親しみがあるのでしょうか、「親指のうずき」以外にも「鏡は横にひびわれて」、「ポケットにライムギを」にも、引き合いに出されていました。

 

 

 

 

次回のセミナーに用いる「親指のうずき」では、シャーロット姫テニスンの作品に登場する姫)が、タペンス(主人公である探偵役のひとり)がイギリス片田舎のB&B(宿泊と朝食のみ提供する宿)で見た夢に、登場します。

 

 

彼女は眠りに落ち、そして夢を見た。見たところシャロット姫のような女性があの窓からのぞいている。』親指のうずき ハヤカワミステリ文庫 深町恵理子氏訳 154ページ

 

 

ウォターハウスが描いたシャーロット姫には、上に挙げた作品以外にも二枚の作品があります。

 

〈教えてアガサ・加古川へ出張セミナー〉

一年前、『では、当いなみ野学園で講座をお願いします』。メールが高校時代の親友の尽力のおかげで私のPCに届きました。あれから色々と調べ直したり手を加えたりしつつ、一年はあっという間に過ぎました。



当日(2月8日木曜)は、快晴の冬晴れとなり気持ちもきりっと締まりました。
何しろ今まで10名前後の参加者で和気あいあいとやっていましたが、今回は初対面の90名。しかも皆さん勉学好きらしく、開場1時間前にもかかわらずもう参加される方の姿が!



とにかく、我ながら事前のシュミレーションが功を奏したのか、それほどの狼狽混乱も引き起こさず終了しました。やれやれ、いまでも頭の中では地球ゴマ(分かるかなあ?)がブーンと舞っています。

 

〈いなみ野学園での本番を前にして〉

いよいよ本番が3日後に迫ってきました。もう何回喋ったかわからない演目(アガサ作品)ですが、初めての大舞台に訳もなくびびっております。下調べをすればいいのに、つい違う資料に目が行ってしまうのは、宿題を前にした学生のようなものでしょう。

というわけで(どうゆうわけ?)、棚に鎮座した読みかけのミステリーに手が伸びてしまいました。

 

オックスフォード運河の殺人』は、イギリスのミステリー作家 コリンデクスター(1930-2017)、の傑作です。代表作に、「ウッドストック行き最終バス」、「謎まで3マイル」、「キドリントンから消えた娘」、「主任警部モース シリーズ」、などなど。

 


イギリスの交通網の発達の歴史は、ブリテン島中部での工業製品をリバプールまで運ぶ必要性から、発展しました。初期は馬に依る輸送でしたが、運搬量の増加からそれは運河を使用した船舶に取って代わられました。以降蒸気機関の登場によって蒸気機関車にその道を譲ることになります。

 

作品「オックスフォード運河の殺人」は、19世紀ホークスベリーからオックスフォードまでを繋いだ、オックスフォード運河を舞台にした作品です。いわゆる「ゆりかご探偵」の部類に属する小説ですが、過去には「時の娘」ジェセフィン・テイ 「成吉思汗の秘密」高木彬光 などの作品の系譜に属する傑作です。アガサ作品を愛するにつけ読書の幅が増えていきます。これもまたありがたいことです。

 

 

今回お世話になった資料は次の通りです。
オックスフォードの殺人」コリン・デクスター ハヤカワ文庫
国鉄道物語 小池 滋 晶文社