〈教えてアガサセミナー〉第21回 親指のうずき
本日6月26日、蒸し暑い中ホームグラウンドの神戸市灘区、あすパークにて 第21回“教えてアガサセミナー。親指のうずき“が、無事終了しました。今回は気心知れたメンバーで和気あいあいと、ああでもないこうでもないと、120分があっという間に過ぎ、楽しい時間でございました。
取り上げた作品「親指のうずき」は、張りめぐらされた伏線と、複雑な人間関係がからみ、参加された方々も『難物』という印象を持たれたようです。私も“新聞紙大の紙”に登場人物と各々の行動を書き写し、なんとか全貌を把握した次第です。
なにはともあれ、皆さんおのおの納得された様子で、すっきりとした表情でお帰り頂きました。
次回 教えてアガサセミナー テキスト出来上がりました。!
毎回、苦労するのが自前のテキストです。今回の『親指のうずき』も難産の極みでした。複雑なストーリーと人間関係、殺人の動機、など今回も犯人の名前を公開しますので、これからお読みになる方々、5枚目のテキストは読まないでくださいね。
アガサクリスティーはかく語りき
After all ,women haven't really got time to be anything but realistic over things.
(By the pricking of my thumbs. page 10)
何と言っても女は忙しすぎて、物事にたいして現実的になるよりほかはないのよ。
(親指のうずき 19ページ)
アガサ女史が『親指のうずき』を発表したのは78才の時(1968年)の時でした。若い頃の作品に比べて、波乱の人生をいきてきた女史には、作品中に含蓄のこもったセリフが至る所に散りばめられています。このセリフなどは、直接ストーリーに関係ありませんが、しばし本を閉じて考えさせられます。
クリスティー作品を描いた画家たち。
学生時代に英語の先生から教えていただいた言葉に、『英語を知るのに必要な三要素がある。聖書、マザーグース、それにシェイクスピアをほんの少しでも知っておくと役に立つ。』というのがありました。
アガサクリスティー作品を読んでいると先生の言葉が身に沁みます。「そして誰もいなくなった」では、旧約聖書の諺やマザーグースにちなんだ殺人が行われます。
さて、次回の〈教えてアガサセミナー〉で取り上げる“親指のうずき”では、何が取り上げられるのと思われますか? 作品名の“親指のうずき”はシェイクスピアのマクベスのセリフを引用されています。BY THE PRICKING OF MY THUMBSが原題です。
Prickは他動詞として、「ちくちく傷ませる」とあります。親指の疼き、とは良く訳したものです。こういう所に先人の経験と知恵が見られますね。
さて、シェイクスピアは16世紀のイギリスが生んだ巨匠ですが、私が知らないだけかと思いますが、彼の作品を描いたイギリスの画家はそんなに見当たらないように思えます。
イギリスの永遠のライバル、フランスの画家 テオドール・シャセリオー(仏: 1819年9月20日 - 1856年10月8日)は、「マクベスと三人の魔女」という作品を残しています。