葬儀を終えて
ベルギーで宣教師(正式ではない)として働き始めたゴッホは、自分の持ち物まで貧し い工夫たちに与える姿に、周囲からは一定の評価を得たのですが、いろいろな軋轢や人 間関係の摩擦から失職してしまいます。そこには彼の問題を抱えた性格が、災いしてい た…
この回から19世紀オランダの画家、フィンセント・ヴァン・ゴッホを取り上げます。 2020年12月19日のテキスト公開も、ゴッホの回をもって最終です。 美術の素人として感じることですが、ゴッホという人は身内にいれば、大変付き合いに 困る性格に思えます。こ…
17世紀、オランダが交易を中心に世界に躍り出たとき、絵画の世界に新しい画材と出会 います。その名は「ラピズラズリ」。 中東のアフガニスタンに産するこの顔料は、鮮やかな青の世界を出現させました。 フェルメールの”真珠の耳飾りの女”が頭に巻いているタ…
17世紀、交易を中心として絶頂を迎えたオランダ(フランドル地方)ですが、絵の購買 層は、かっての教会に属する人々から、中産階級の市民えと移っていきます。 フェルメールの絵画にもその影響は見られ、手紙が大きな要素となりました。 貿易によって海外か…
ヨーロッパとアフリカ大陸を分けていたジブラルタル海峡が、イスラム世界からキリス ト世界に戻されたことで、オランダが東方に交易を拡げることが出来ました。17世紀は オランダがヨーロッパにおいて、その全盛時代を迎えます。フェルメールの絵画にもそ の…
今回のテキスト公開も最終に近づいてきました。 前回まではフランドル(オランダ)地方の、画家レンブラントを取り上げましたが、今回からはもう一人の巨人・フェルメールの番です。 レンブラントより、およそ25年後にデルフトに生まれたフェルメール。およ…
17世紀、レンブラントは、かっての絵画の購買元である教会からではなく、商業で頭角を現し始めた中産階級市民からの依頼で、絵画を描くことになります。 けれど、依頼主からの要望と自分自身の絵画の方向性が違ってきます。いきおい、両者のいさかいも増え、…
16世紀から17世紀にかけてのフランドル地方 フランドル地方(現在のオランダとベルギーに相当)は、混とんとした状態でした。スペインからの独立を目指す一派とそれに反対するグループ、宗教はカトリックとプロテスタントに分かれ、言語は多言語、まさに混乱…
ヨーロッパの教会は、上から見ると十字架になっている場合があります。 右端の半円形の場所から神父(カトリックの場合・プロテスタントでは、牧師)が、日曜の礼拝にきた人たちに聖書の教えを説くわけです。 神父の後ろにはステンドグラスをはめた採光の窓…
今回から17世紀のフランドル地域に生まれた二人の画家、レンブラント・フェルメールそして19世紀のゴッホについて、私の調べたことをお話いたします。 彼らが目指した画風は「光」を重視していると思います。では、私たちにとって光、太陽とはどんな存在なの…
今回は「葬儀を終えて」の犯人に触れますので、まだ作品をお読みになってない方は、ご注意くださいね。 さて、ヘレンが感じた違和感とは何だったのでしょう? それは、他の家族との会話で鏡のことが話題になりました。“他人の目に映るとおりの自分自身を眺め…
Page369しかしね、鏡に映った姿でなく、自分本来の姿を見たら、もっと判別がつかなくなるぜ。ジョージの言葉 Page370 ただ、ヘレン・アパネシーだけが、なにか考え込んだ様子で沈黙を続けていた。 Page 380 他人の目に映るとおりの自分自身を眺める。・・・ コ…
Page276 この国じゃ私たち、どうにか今度の戦争でひどい目に会わなくて済みました。また島国だったことも幸運で。もしヒットラーが上陸していたら、私たちも銃を取って彼をとっちめただろうと思います。私たちイギリス人はいつも不幸な人たちをこの国に歓迎…
第11章No.3Page 240これは古い習慣でして、ウェディングケーキをまくらの下にして寝ると、未来の夫の夢を見るという。 末の妹、コーラが殺害された後、同居していた家政婦・ギルクリフトの言葉。差出人不明のケーキが送られてきますが、彼女はウェディングケ…
第6章 No.2 Page 125 そもそもこんな状態になったのはあのいまいましい労働党のせいだ。ちゃんとした庭師も雇えない。使用人なんか探してもいない。”ティモシーの言葉” Page 132 この頃の下層階級の人間ときたら誠実さというものが全然ないんだから。”ティモ…
第4章 No.1P52彼は朝食をすませて枕によりかかり、<タイムズ>を読んだ。こんな時にはタイムズを読むと、なんとなく気持ちが落ち着いてくる。(次男チモシーの言葉) アガサの作品には英国の新聞がよく登場します。階級の国だけあって、読む新聞がその人物の…
長男リチャードの葬儀も無事に終え、兄弟・親戚一同はほっとしたのもつかの間、末妹コーラの爆弾発言が飛び出します。「だってリチャードはころされたんでしょう」。 コーラが一族の中で一風変わっていると、皆は理解していますが、こんなことを言ってはいけ…
10月のセミナーが終わったと思ったら、早くも1か月後の12月には次のセミナーが、控えています。只今、頭を痛めつつテキスト作りに励む毎日です。 次回の課題作品は、「葬儀を終えて」アガサ女史63才の作品です。(発表は1953年・ポアロ25作目) 一家の長が死…