2020年12月19日 教えてアガサ・セミナー テキスト公開。No.10

今回から17世紀のフランドル地域に生まれた二人の画家、レンブラントフェルメールそして19世紀のゴッホについて、私の調べたことをお話いたします。

 

彼らが目指した画風は「」を重視していると思います。では、私たちにとって光、太陽とはどんな存在なのでしょう? そんなところから始めます。よろしくお付き合いください。

 

神社の本殿は南か東を向いている。

多くの神社の本殿は南もしくは東を向いていることが多いです。
その理由は、「天子南面す」という中国の古い思想からきているとされています。
天子とは皇帝のことを指し、国を治める者や権力のある者は北を背にし、南面を向くという言い伝えです。
この言い伝えや考え方が神社創建にも備わっており、そこから多くの神社が本殿が南面を向く形で建てられたとされています。
また、東面を向いて建てられているのは、太陽が昇る方角に向けたからという説もあります。
東は太陽が昇る方角であり、それはまさに明るさの象徴です。
そのため東という方角には非常に強いパワーが眠っていると考えられていました。

 

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口を開けた狛犬は東側(陽の上る方向)に置かれ、口を閉じた狛犬は反対の西側に置かれています。一日の始まりと終わりを示した配置になっています。

農耕が始まった時代、日が東より昇り、西に沈むことは稲作にとっては最大の関心ごとであったでしょう。それは、仏教の世界にも受け継がれ仏像の配置にも及んでいきました。

 

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兵庫県小野市には、国宝・阿弥陀如来像(快慶作)が収められている浄土寺があります。ここでは、阿弥陀如来と脇を固める仏像が東を向いて立っておられます。

夕日が差すころになると、仏様の足元から日の光が差し、遠く西にあると言われる「西方浄土」を、思い起こさせてくれる演出がなされています。

 

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国宝「浄土寺」(小野市)jiotv

 

このように私たち日本人と光の関係は古来より深く、そして現代にも繋がっていると思われます。この関係はヨーロッパでも同様でした。次回はキリスト教世界での光との関係を見ていきます。