セミナーテキスト公開・そして誰もいなくなった

マザーグースが引用されたアガサ作品

最期にアガサ作品の中でマザーグースが引用されている小説をご覧ください。10作の著書とその作品に関係するマザーグースを併記しています。(他にもあるかもしれません。ご参考まで) 下段は今回の、”そして誰もいなくなった”の、テキスト作りに参考にさせて…

そして誰もいなくなった、より” アガサ女史が仕掛けた謎解きのヒント 第六の被害者・ローレンス・ヴォーグレイブの場合 ①

アガサ女史が(主要登場人物の口を借りて)述べる、三つの手がかりのうち一番分かりにくいのが、この”いうまでもなく”カインの刻印です。アガサが思い描く読者の姿はこの文から察するに英語(キリスト教)文化の人たちなのでしょうね。 私たち(少なくとも私…

そして誰もいなくなった、より” アガサ女史が仕掛けた謎解きのヒント 第七の被害者・アームストロングの場合

アームストロングは、犯人を見つけに行くと言って、館の外へ飛び出したまま行方不明になります。翌日浜辺に打ち上げられた彼の死体が発見され、7番目の被害者になってしまいました。アームストロングに振り分けられたマザーグースは「燻製のニシン」がポイン…

そして誰もいなくなった、より” アガサ女史が仕掛けた謎解きのヒント

本文最終部分で、犯人がこの犯罪の謎ときをするシーンがあります。 犯人の口を借りてアガサ女史は、読む人が読めばちゃんと犯人は判明するとばかりに、三か所のヒントを提示しています。 次のテキストはその部分についてです。 なかなか煩雑なので、次回から…

そして誰もいなくなった、より”エミリーブレントの述懐” ① 1840年代以前の麻酔

物語が始まって11ページ、10人のうち信仰深い夫人、エミリーブレントのセリフです。気になる言葉が「歯を抜くときに麻酔を要求する。」です。彼女は麻酔無しで治療を受けるつもりのようです。 麻酔の歴史は浅く、ターニングポイントは1840年代に遡ります。 …

第6回 セミナーについて。テキスト公開 ④

NHK BS放送で『深読み読書会』という番組があります。いろんな分野の専門家が寄ってたかって、作品の深読み合戦に奮闘する趣旨の番組です。作品への愛情と、あふれんばかりの熱心さに、思わず見入ってしまいます。 私のアガサ作品に対する態度も似たようなと…

第6回 セミナーについて。テキスト公開 ③

三枚目のテキストは、アガサ女史の家族についてです。 兄・モンタントと姉・マーガレットに色々な影響をアガサ女史は受けます。 兄は1890年末に南アフリカで起こったボーア戦争に出兵します。(ボーア戦争は南アフリカにおいて、地下埋蔵資源を巡って、先住…

第6回 セミナーについて。テキスト公開 ②

前回は登場人物の前半5人を紹介いたしました。今回は残りの5人の番です。 過去に罪を犯した人物が一人一人と、殺害されていくのですが、アガサ女史は読者に犯人へと結びつく3つのヒントを用意してくれています。けれども、キリスト教の文化圏とは距離のあ…

第6回 セミナーについて。テキスト公開 ①

今月9月19日㈯は、アガサセミナーの第6回目を行います。只今、セミナー用のテキストを作成真っ只中です。毎回セミナー前の数日が大変つらい時期です。泣き言を言っても始まりません。少しずつ、ぼんくら頭にムチ打って頑張ってます。 今回のテーマは『続…

第2回セミナー テキスト ⑨ ここに注目。

アガサの作品を注意深く読んでみますと、ストーリーとは一見関係ない、”些細な会話”に、当時の英国のお国事情が、垣間見てきます。 次のテキストNo.9は、その一部を抜き出したものです。 (文頭のNo.8は本文第8章、Page19は19ページのことです。) 次回のNo.10…

第2回セミナー テキスト ⑧ キリスト教聖人の名前 各国による呼び名の変化

前回まで、現在まで生きるマザーグースを何点か、ご紹介しました。例を挙げればきりがありませんが、ビートルズも皆さんが良くご存じの名曲にマザーグースが組み入れられています。機会があればまたご紹介いたします。 さて、今なおヨーロッパ社会では、キリ…

第2回セミナー テキスト ⑦ How many miles to Babylon ?

この曲は、ある年齢以上の方には大変懐かしい、NHKの人形ドラマ ”ひょっこりひょうたん島”に使われていました。 宝探しの歌.wmv

第2回セミナー テキスト ⑥ Rain ,rain go to Spain

オードリーヘップバーンが主演した映画”My fair lady”。コックニー訛りの下町娘(ヘップバーン)は、言葉をレックス・ハリスンに矯正されます。 ”R”を、正しく発音するために使われたマザーグースがこの曲でした。 少しずつ言葉がきれいになっていくイライザ…

第2回セミナー テキスト ⑤  One, two,three, four, five, six, seven

1975年 製作された映画「カッコーの巣の上で」は、精神に異常をきたした患者を装った、ジャックニコルスンが、病院内での理不尽な扱いに抵抗するお話でした。ここにも、マザーグースの遊びの順番を決める歌が使われています。 One Flew Over The Cuckoo's Ne…

第2回セミナー テキスト ④  Can you make a cambric shirts?

「サイモンとガーファンクル」のヒット曲として有名な”スカボロフェアー”は、 スコットランドで歌い継がれたマザーグースをベースに、生まれました。 様々な香草の名が歌こまれた、哀愁深い名曲は、映画「卒業」に使われました。 スカーボロー・フェアー Sca…

第2回セミナー テキスト ③ Mary had a little lam

今回からは数回にわたってマザーグースのお話を、させていただきます。英米圏で昔から歌い継がれた沢山のマザーグースは、現在でも生活の思いがけない場面で表れています。 まず最初は「メリーさんの羊」です。 子どもの後ろを子羊がついていくといった、の…

第2回セミナー テキスト 「そして誰もいなくなった」②

作品、そして誰もいなくなった、は孤島に集められた10人の人間が、ひとりまたひとりと殺されていくのですが、登場人物と彼らが犯した過去の罪が、録音された音声で暴露されます。上の表は、名前・職業・罪の内容を表したものです。 その下のイラスト並びに写…

第2回セミナー テキスト 「そして誰もいなくなった」①

作品・そして誰もいなくなった(1939年発表)は、ポアロやミス・マープルも登場しないお話です。よく知られているように、孤島に招待された縁もゆかりもない人たちが、数え歌(マザーグース)に合わせて一人、また1人と殺されていく不思議でかつ恐ろしいストーリ…

第2回セミナー テキスト 「そして誰もいなくなった」

第2回セミナーは、2019年6月24日(月曜)に、行いました。 テーマは「そして誰もいなくなった」。発表は1939年、ヨーロッパで第二次世界大戦がはじまります。暗い世相を反映してか、終始押しつぶされそうな雰囲気で話は進みます。 この回も テキストは10枚を…