そして誰もいなくなった、より” アガサ女史が仕掛けた謎解きのヒント 第七の被害者・アームストロングの場合
アームストロングは、犯人を見つけに行くと言って、館の外へ飛び出したまま行方不明になります。翌日浜辺に打ち上げられた彼の死体が発見され、7番目の被害者になってしまいました。アームストロングに振り分けられたマザーグースは「燻製のニシン」がポイントでした。
Red herring (赤いニシン)とは、英語のことわざです。強烈なにおいを発する燻製のニシンを使って、猟犬の嗅覚を混乱させる目的に使用されるそうです。
よって、アガサ女史はアームストロングの一件は、読者を欺くための殺人と言っているわけです。
こういった英語圏特有の言い回しに不慣れな読者にとっては、ヒントとは受け取りがたいのですが、見かたを変えればこういう表現を自ら調べてみると、今までにない世界が開けてきます。異文化に触れる醍醐味も味わえるわけですね。