アガサクリスティーの生涯は戦争と密接な関係が見られます。
ボーア戦争(1899-1902)では、兄のモンティが従軍します。さらに、第一次世界大戦では彼女の最初の夫、アーチボルド・クリスティーも従軍参加。彼女自身も薬剤師として勤務します。この時期の経験が作品では大いに発揮されているように思えます。
作品「杉の柩・1940年発表」では、英国作品らしく紅茶の登場するシーンが各所に見られます。加えて、殺人の小道具としても利用されるのですが、被害者は毒で殺害されます。
作品の終盤、薬の知識を生かして、毒薬(モルヒネ)の特徴を述べるシーンがあります。彼女の独壇場と思える場面です。