📚 ”イラストで読む旧約聖書の物語と絵画” 杉全美帆子氏著 河出書房新社発行
外国語(特に英語)を学習するとき次のことに重点を置くことが大事といわれます。
まず、シェークスピア、マザーグースそしてなにより聖書です。
様々なエピソードや格言が現在でも英語圏の人々の生活に影響を与えています。
アガサの名作”そして誰もいなくなった”には、物語の終盤でこんなセリフがあります。
重要なセリフは”カインの刻印”です。これは旧約聖書に書かれた、アダムとイブの間に生まれた兄弟カインとアベルの確執から生まれた言葉です。
英語圏の読者はこの言葉から、ストーリーの骨格をなすトリックに気づく(本当でしょ
うか?)と、作者・アガサは考えているのです。たいていは無神論者である我々には何
のこと?と戸惑ってしまいますが、語源を知れば一層味わい深い読み方も出来ようとい
うものです。
”イラストで読む旧約聖書の物語と絵画”は、なかなか理解しにくい旧約聖書の内容を
イラストで紹介してくれ、大変役立ちました。ぜひ一読ください。
最後から二番目のコマ、No.7で追放されたカインの眉間には刻印が記され、それはカ
インを罰することができるのは神だけである、という含みがあります。つまりこの作品
の犯人は眉間に〇〇がある者というわけです。ぜひ、本作品はじっくりお読みいただき
たいです。