英国の食生活 その4
ニシンは処理によって名前が付いたものがあります。その名が「レッドヘリング」と言い、14世紀のブリテン島東部、グレート・ヤーマス(英: Great Yarmouth)で生産され始めたという史実が残っているようです。
ニシンはよく洗って後、半月ほど塩に漬けられ燻製にされ、貴重な食糧と輸出商品となったわけです。
アガサクリスティーの名作、“そして誰もいなくなった”では次のように使われています。
『4人のインディアンが海に出かけた。1人が燻製のニシンに飲まれて3人になった。 』
『Four little soldier boys going out to sea, A red herring swallowed one and then there were three.』No.6 p35~36
作中、7番目の犠牲者がこのマザーグースの歌詞になぞらえて殺されます。
レッドヘリング(赤いにしん)が、英語圏の諺として使われる場合は、匂いのきつい燻製ですから、真実から目をそらす・ごまかす、という意味で使われます。この言葉が犯人を特定する上でのヒントの一つとなっていました。
今回の参考資料 『魚で始まる世界史』越智敏之氏・著 平凡社新書
お世話になりました。