教えてアガサ・セミナー項目 あ行  アヘン

 

ミスブレントのせりふ そして誰もいなくなった No.4 page11より


近頃の者はなんでもないことに騒ぎ立てる。歯を抜くときに麻酔を要求する。眠れないと薬を飲む。
Everyone made such a fuss over things nowadays. They want injections before they had teeth pulled. They took drugs if they couldn't sleep.

そして誰もいなくなった No.4 page11より

 

作品「そして誰もいなくなった」に登場するミスブレントは信仰深く頑なな夫人です。

老人にありがちな新しい物への不快感を、アガサ女史は鋭く観察しています。

 

 しかし、麻酔薬が当然の現在から考えると、当時はそういった処置もなく医療処置がなされていたわけです。恐ろしい話です。麻酔薬の歴史は19世紀に始まるようで、植物から抽出したアヘンや大麻が使われていたそうです。

 

深刻な副作用を持つこれらの薬(?)から化学物質へと進化しました。

 

 

 これらの進化過程においては、やはり無知からくる弊害が多くみられ、19世紀史イギリスでは、子供でも簡単に阿片(薬品名・阿片チンキ)が手に入ったようです。

 

 

 この時代、イギリスは茶の輸入を巡って輸入元の清国との間に悪名高い「阿片戦争・1840~1842」を引き起こします。

 21世紀の感覚からすれば、本当に非道なやり口ですが、当時のイギリスにおいては、阿片の害毒性よりも痛みから解放される効能を重視していたのかもしれませんね。「常識の相違」は、空間的と時間的に現れるようです。

 空間的とは、地域による違いで(ケンミンショーで、よく見られます)時間的とは、現代と過去においての違いのことです。禁煙やLBGTへの考え方も時間に依って変化するように。

今回お世話になった資料は、ヴィクトリア朝百科事典 谷田博幸氏著 河出書房新社 です。ありがとうございます。