自分がシードケーキが大好きなものですから、

 人の趣味嗜好というものは、なかなか頑固なもので一旦気に入ったものであれば、他人も好きに違いない、という思い込みほど迷惑なことはありません。人間観察が鋭敏なアガサにとっても、それは気になるようで”鏡は横にひび割れて”でも、辛辣な描写が見て取れます。

 

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 あの人は非常に親切な人で、いつも人の世話をしていました。なんでも自分が一番心得ているという自信があったらしいです。人にどう思われようとそんなことはお構いなしです。私の叔母がやはりそういうふうでした。 自分がシードケーキが大好きなものですから、人にも食べさせたり、持っていこうとしましたけれど、相手もシードケーキが好きかどうか知ろうともしないんです。(第 6章  P49) 

 

She was very kind woman and she was always doing things for people. And she was always quite sure she knows the best thing to do. What they thought about it wouldn’t gave mattered. I had an aunt like that.Very fond of seed cake herself and she used to bake seed cakes for people and take them to them. And she never troubled to find out whether they liked seed cake or not.

 

シードケーキは伝統的イギリスのお菓子で、甘くさわやかな香りのキャラウェイシードをたっぷり使った、イギリスに古くから伝わるケーキだそうです。

NHK グレーテルのかまど・2020年5月4日放送分より引用

 

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 作品”鏡は横にひび割れて”では、二度の大戦で疲弊したイギリスが、コッツウェルズのような田舎の村でも様々に変わりつつある様子に動揺する村人が描かれています。

19世紀に生まれたアガサクリスティーの心情が垣間見られるようです。

 

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Cotswolds, England: Village Charm