作品の登場人物のセリフには、”作者の考え”を、吐露する場合があるように思えます。
オリエント急行の殺人にも、20世紀初頭のイギリス(ヨーロッパ)と、新興国・アメリカの立場を想像させる、登場人物のセリフが見られます。
オリエント急行の殺人、よりアメリカ人の私立探偵ハードマンせりふ
車中でポアロとアメリカについて語る
第15章 証拠の手荷物 P244
アメリカに行けば進歩的なやり方がいくらか覚えられますよ。
ヨーロッパは目を覚まさなくちゃ。半分眠っているようなもんですからね。
Me ,I would much like to go to America.said Poirot.
You’d learn a few go-ahead methods over there. Europe wants waking up. She’s half asleep.
オリエント急行の殺人が書かれたのは1934年、第一次世界大戦で戦場にならなかったアメリカでは未曽有の好景気が起こりました。いわゆる”ローリング20”(狂騒の20年代)と呼ばれた時代でした。戦場となり荒廃したヨーロッパが、アメリカを見習うべきとの世論が、あったのかもしれません。