セント・メアリー・ミード村

 セント・メアリー・ミード村は架空の村で、マープルの話によると、典型的なイギリスのかわいらしい村と言った所のようです。それでも商店や教会、銀行、郵便局が揃い

つつましく生活する分では、申し分ないようです。

 

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 しかし、二つの戦争を経てこの穏やかなイギリスらしい村にも変化が訪れているようです。

 

翻訳本 P10 第1章 No.1

人間は現実に直面しなjければならないのだ。セントメアリーミードだって昔どうりではない。そう言えばある意味では、何もかもが依然と違ってきている。本当は自分が年をとってきたという、単純な事実のせいなのだ。

 

One had to face the fact : St Mary Mead was not the place it had been.

In a sense, of course, nothing was what it had been. – but what one really meant was simple fact that one was growing up.

 

鏡は横にひび割れて The mirror cracked from side to side (1962年発表) より

 

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神戸のお茶について

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アガサキリスティーの作品を調べていると、思わぬ歴史や事柄を発見します。
作品「杉の柩・1940年発表」では、お茶がキーポイントになります。茶の歴史を探る過程で、19世紀の後半にはわが町神戸にも、茶園が存在していたことが分かりました。

 

次の表は明治5年から大正7年における神戸港からの輸出実績表です。(神戸市史より)

 

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 ほぼ農業生産物が占めていますが、茶においては明治35年をピークに40年ほど茶の輸出が盛んであったようです。

 

 現在では想像すら難しいのですが、産地は旧葺合区・現在の中央区東部から、摩耶山の麓までの傾斜地に茶園が拡がっていたようです。

 白黒の地図明治18年参謀本部陸軍部測量局による地図です。カラーの地図は現在の同じ地域地図で、赤枠で囲まれた地域は、私が引いた茶園と思われるエリアです。

 

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 現在の中央区、旧居留地では、かって茶園で撮れた茶を精錬加工するための工場があり、多くの日本人が作業に従事していたようです。

 

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 2009年12月24日の神戸新聞に、ビル建設用地に明治の茶精錬の跡が発見され話題になった記事が掲載されています。

 

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 アガサの作品を調べると本当に様々な道の歴史を知ることが出来ます。整理の意味で徐々にupしていこうと考えています。

 

 

今回の資料等は、神戸文書館並びに当地でお茶の販売をされている静香園様にお世話になりました。ありがとうございました。

< アガサクリスティー作品の傾向 >

 1890年生まれのアガサクリスティーにとって、19世紀に絶頂を迎えた祖国イギリスは、どのように映っていたのでしょう? 

 ボーア戦争第一次世界大戦、そして第二次世界大戦と、1976年にその生涯を終えるまで三回の戦争を目のあたりにして、彼女の作品にはどのような影響があったのでしょう?

 

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1920年から1940年までの20年間はポアロの絶頂期のように私には思えます。

 第二次世界大戦が終わり、ドイツに蹂躙されたイギリスがかっての帝国としての地位を失うに比例して、アガサの生み出す作品の比重はポアロからミス・マープルに移行しているようです。

 それは、オリエント急行で中東からヨーロッパ、さらには観光船でナイルまでポアロを登場させた時代から、古き良き英国の田舎で、ミスマープロを活躍させたように、アガサ女史も内に向かう作品傾向に、変化したように感じます。

 

テキスト公開 4月14日 セミナー ナイルに死す その⑧

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 複雑な思いを胸に含んだ三人の男女は、ナイル川を上るカルナック号に乗船します。

遊覧航行ながら、不穏な空気が流れる船内では、各自に与えられた部屋に全員落ち着きます。

 

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 歴史的エジプト遺産が残るアブシンベル付近で、とうとう事件が展望室で起きてしまいます。カードゲームに興じるメンバーにジャクリーヌが近づいて・・・・。

 

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< アガサクリスティー作品の傾向 >

 第一次大戦後、ベルギーからの避難民の設定として名探偵エルキュール・ポアロは生まれました。彼はアガサ作品のほぼ6割を占めます。

 

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1940年代がポアロの最盛期とすると、それ以降の主役はミス・マープルです。

 イギリスの典型的な田舎町、”セントメアリーミイド”をねぐらに、得意の推理を生かし、数々の難事件を解決していきます。この二人は変わりゆくイギリスを的確に描写するのに、大変重要なキャラクターとなっています。

テキスト公開 4月14日 セミナー ナイルに死す その⑦

今回は殺人事件の現場となったナイル川の概略をお伝えします。

イラストの下の方(上流)から上の方(下流)へと、大河が流れるのですが、ポアロ

たちは下流から上流へと河を登るツアーに出かけます。この船上で事件が起きます

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アスワン・カタラクトホテルで、ジャクリーン(恋人を奪われた)はポアロにかっての

恋人サイモンと友人リネットへ復讐したいと打ち明けます。途中、アブシンベル宮殿で

は、二人の頭上へ石が落ちてくるなど、不穏な状況が起こります。

テキスト公開 4月14日 セミナー ナイルに死す その⑥

 作品”ナイルに死す”は、イギリスの郊外にあるカントリーハウス(主に富豪が住む豪邸)から始まります。

 金持ちのリネットは友人ジャクリーヌから恋人のサイモンに職を与えて欲しいと、懇願します。やがて、リネットは親友の恋人と結婚しエジプトへ新婚旅行へと出かけます。まるでテネシーワルツのように。

 


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次回、舞台はエジプト・カイロです。