<第1回セミナーテキスト・”オリエント急行の殺人”> その③

今回はA-4,

 作品中でポアロオリエント急行の重役ムシュー・ブークが、再開する場面からスタートです。

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 二人はお互いを“ムシュー”と、呼び合う仲なのですが、ミスターではないのは理由があり、ポアロベルギー人という設定です。さらにはブークもベルギー人と作品では書かれています。ベルギーは、オランダ語・フランス語・ドイツ語を公用語として使用している国家なのです。

 さらにアガサ自身も若いころパリに留学の経験がありました。もともと裕福な家庭に生まれた彼女でしたが、父親の死去にあたり家族そろってフランスへと移住することになり、パリでフランス語の教育を受けることになりました。”ムシュー”に限らず、アガサの作品にはフランス語がよく使われます。


Murder on the Orient Express (1974)

 

映画オリエント急行の殺人(1976年)で、ポアロとブークが列車に乗り込むシーン。

 

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 本文中、国際寝台会社と訳されていますが、架空の名前ではなく実在した会社で、1872年にベルギーで実業家ジョルジュ・ナゲルマケールスによって設立され、ヨーロッパ全域で活動していた鉄道事業会社でした。

 独自の路線や機関車は持たず、豪華な寝台車や食堂車を中心としたオリエント急行をはじめとする国際列車を主に運行していたそうです。

 

今回、参考にした書籍は以下の通りです。

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次回はベルギーという国について少々ふれてみます。