どんなに優しくても、利口だとは限りません。
Madame, the most kind, the most amiable are not always the cleverest.
マダム、どんなに優しくても、どんなに愛嬌のいいかたでも、利口だとは限りませんよ。(ポアロの言葉)
(オリエント急行の殺人 第14章 証拠の凶器 P240より)
アガサの書く文章には時として、主観の混じらない真実(残酷なまでも!)が、語られます。オリエント急行の車内で行われた不可思議な殺人事件は、色々な憶測を呼びます。ある乗客が、「誰それはホントに優しく、愛嬌が良いのです。」という声に対してポアロが放ったセリフが、上記の一文です。そこまで言わなくても、と思いますが、人間を長く観察してきたアガサにとっては、やはりそれも真実なのでしょう。