オリエント急行の生みの親 ナゲルマ・ケールス ①

 今回から2回に分けて、オリエント急行の歴史をご紹介します。

まずは、トカトリアンホテルの場面から。(本文27-28ページより)

  

“This is an unexpected pleasure” said a voice behind him. The speaker was a short, stout elderly man, his hair cut en brossse. He was smiling delightedly. Poirot sprang up. “M Bouc” “M.Poirt”
M.Bouc was Belgian, a director of the Compagnie Internationale des Wagons Lits , and his acquaintance with former star of Belgian Police Force dated back many years.

 

「やあ、これは意外なところでお目にかかるもんですな。」と、背後の人物が言った。

声をかけたのは髪を短髪にした、背の低い、ずんぐりとした、年配の男であった。

嬉しそうに笑顔を浮かべている。

 ポアロは飛び上がった。「ムッシュー・ブーク」「ムッシュー・ポアロ」ムシュー・ブークはベルギー人で、国際寝台車会社の重役の地位にあり、ベルギー警察でかって赫々たる名声をはせていたムッシュー・ポアロとは、ずっと前からの知り合いであった。

 

 

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デビッド・スーシュ演じる ポアロ

 文中にもふれられていますが、ポアロは「ベルギー警察でかって・・・」とあるように、ベルギーからの移民と設定されています。

 それは20世紀初頭、第一次世界大戦でドイツに占領されたベルギーでは、多くの移民がイギリスにも押し寄せました。アガサはそんな世相から、探偵ポアロをベルギー出身としました。

  果たしてこれが偶然の一致なのかどうか不明ですが、オリエント急行生みの親と言える人物もベルギー人だったのです。

 映画 オリエント急行の冒頭シーン