そして缶詰は残った。🥫

 クリスティー作品に限らず、話の中に登場する食べ物には、舞台によって様々な食品が登場します。登場人物がすべていなくなる傑作「そして誰もいなくなった」では、オーエン家の召使ロジャースが、招かれた客に館に残っている食べ物を伝えます。

 

Rogers was standing by the dinning-room door. As the three men descended the stairs he moved a step or two forward. He said in a low anxious voice. ‘ I hope lunch will be satisfactory. There is cold ham and cold tongue, and I’ve boiled some potatoes. And there’s cheese,and biscuits, and some tinned fruits.

 

ロジャースは食堂のわきに立っていた。三人の男が階段を降りていくと、彼は1・2歩進み、低い落ち着きのない声で言った。「お気に召しますかどうか、コールドハムとコールドタン(牛タン)、それに馬鈴薯をゆでて、ツーズと缶詰の果物を出しておきました。             (日本語訳・清水俊二氏)

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Ox-tongue 牛タンの缶詰

 

 一般的に言われていることですが、イギリスの料理は美味しくないようです。理由は諸説あるようですが、貴族階級が食べ物に執着することを良しとしなかった、ブリテン島は野菜栽培に適していなかった、等々。真相はどうなんでしょう?

 

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豆の缶詰

 作品・そして誰もいなくなった・は、1人1人と島に集められた人物が消えていくのですが、よく考えれば食べ物の心配は、どうなったのでしょう? もっとも、飢え死にすることより殺される恐怖の方が深刻ですね。