ある時代のアメリカ人にとって「先祖のふるさと」は、イギリスでした。19世紀中旬から末にかけて、ジャガイモ飢饉による飢餓から逃れるために、新大陸へと移住した先祖の地を訪れることは、多くのアメリカ人にとっての夢だったのでしょう。
アメリカ人女優、マリーナ・グレッグの言葉にも、イギリスへの憧憬が感じられます。
ミス・マープルの住む「セントメアリーミード村」は、典型的なイギリスの村です。そこには、教会、雑貨店、郵便局があり、そして何よりの娯楽は住民たちのゴシップ(噂話)がでした。それが事件が起きた時、マープルが重要視する要素でした。