こぼれ(た)話 "オリエント急行の殺人"の時代背景

 1934年に発表された名作“オリエント急行の殺人”では、ラチェットという”名”のアメリカ人資産家が殺されるのですが、探偵ポアロは車内の乗客一人一人に尋問を試みます。

 会話の中には当時の世相や、ポアロの(アガサの?)イギリス人やアメリカ人に対する感情が吐露しています。

 ラチェットの秘書ヘクター・マックイン(1976年の映画では、アンソニー・パーキンスが演じていました。)と、ポアロの会話では・・・・。

  

Chapter 2 No.2 P120

 世界に政治情勢とか、インド政府の事、自分たちの国の経済問題、ウオール街の危機などが話題に上りました。僕はイギリス人とはあまり親しくしないようにしているのです。なにしろ頑固ですからね。でも大佐は気にいりましたよ。

Discussed world politics and the government of india and our own troubles with the financial situation and the Wall street crisis. I don’t as arule cotton to Britishers – they ‘re a stiff-necked – but I liked this one.

 


1929年に始まった世界大恐慌

 

 この作品の5年前、ニューヨークで起きた株価暴落は後に世界恐慌へとつながり、各国の保護貿易主義から、第二次世界大戦へと繋がっていきます。時世を感じさせられる会話が頻繁に見受けられます。

 

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  2017年公開のリメイク版 オリエント急行の殺人


映画『オリエント急行殺人事件』予告B